「ゲルマン法コレクション」について
広島修道大学図書館
館長 富川 久美子
「ゲルマン法コレクション」は、「明治法曹文庫」の“欠落”を埋めるべく、新たに2008年に本学図書館のコレクションに追加された貴重資料群です。「明治法曹文庫」は「明治新政府が成立し、近代的法治国家としての諸制度が整う過程」を研究するにあたり、極めて貴重な史料を多く含んでいます。しかし、当時収集された書籍の中には、日本の近代法に大きな影響を及ぼしたとされるドイツ法学に関する文献は乏しく、明治期の近代法整備の過程を研究するに際しては、この点の“欠落”が指摘されていました。
「ゲルマン法コレクション」はそのような状況を補完すべく、本学創設50周年の事業の一環として本学に収集されるに至りました。本コレクションは、18、19世紀ドイツの法典や法学に関するおよそ270点の貴重な文献から構成されており、その中には『プロイセン一般ラント法』(写真1)のような著名な作品や、19世紀のザクセン王国の法発展に大きく寄与した『コーデックス・アウグストゥス』(写真2,3)、さらにはドイツ語で書かれたフランス民法典の手引き書(写真4)なども含まれています。
本コレクションは独立的な史料群としても勿論国内において稀少なものでありますが、日本近代法の成立に光をあてるという点では、「明治法曹文庫」と相補的な役割を果たしており、互いの史料的価値を高めていると言えます。本コレクションが、「明治法曹文庫」とともに、さらに法制史学の研究に大いに役立てられることを切に望みます。
以 上
*ゲルマン法コレクションについては、こちらのリンクよりOPAC一覧表示で確認が可能となっております。
*本学ゲルマン法コレクションの構成や目録、18世紀以降のドイツ法学とその文献の特徴などについては、以下を参照ください。
鈴木康文「本学所蔵の『ゲルマン法コレクション』について」『修道法学』第40巻1号、2017年、89-124頁
前田星「広島修道大学図書館所蔵『ゲルマン法コレクション』目録」『修道法学』第42巻2号、2024年、365-392頁
写真1
写真1 写真3
写真4